窓拭き

その日はおやすみで、とっても遅く起きた。
起きたとは言え、まだベッドの中でまどろんでいたかったのだ。
寝床のそばに置いてあるiPadでもって昔懐かしの映画なんかを見てみたり。

いつまでもこんなことで一日が終わってしまっては、さぞ人生がもったいないとのこと。
ベッドを飛び出して昨日の洗い物や部屋の掃除なんかをして。
あぁそうだ、窓の拭き掃除をするのだった。

ベランダを水掃除して、乾かしている間にドラッグストアへと自転車を走らせる。
窓拭き用の洗剤を買いに行くだけだったが、なぜだかやたらと混んでいた。
年の瀬ということもあるのだろうか。

帰りがけには洋菓子屋をのぞいてみた。
クリスマス近くということもあって、ここも混んでいる。
そこは街のお菓子屋さんという象徴で、店内の向こう側には作っている様子が伺えた。
過去に僕はあの向こう側で、ああして誰のためともなく汗を流していたのか。
遠い気持ちになりながら、心からガンバレと唱えた。

シュークリームを2つと窓拭きの洗剤を持って帰る。
早速、窓拭きをするわけだが、こんなモノはと思うが奥が深いモノである。
なんでもそんなものだろうと思う。
一見、普通で、ありきたりで、簡単そうなものも、その実、奥が深いモノなのだ。
そんなことを思いながら、貧弱な両腕を疲れさせつつ何とか窓拭きを終わらせた。

買っておいた本を読もう。
あたたかい紅茶を淹れて。
BGM程度にジャズなんかを流して洒落込んで。

夢中になって読んで、あたりは暗くなっていた。
そうだ、シュークリームを買っておいたんだ。
もう一杯あたたかい紅茶を淹れよう。